Un Français sent 〜 フランスの匂い 〜  8

f0175616_14443719.jpg


【 HOTEL COSTE 】

今日は午後ゆっくり時間をかけて左岸にある「オルセー美術館」を見ようということになっていた。
いつも通り、ホテルの1階にあるカフェでゆっくりの朝食をとり、紅茶を飲んでいると、このお店をまかされているらしき素敵なギャルソンが
「ボンジュール、マドモワゼル」
とウインクしてくれた。
同じホテルに滞在しているので毎朝会うのだけれど、来たばかりの頃はあまり愛想もよくなく、業務的に接していたような感じだったのだけど、5日が経過して、私たち親子にもようやく慣れてきたのかな?
フロントの人たちも、今では通るたびに笑顔で、
「ボンジュール、マドモワゼル」
「ボンソワール、マダム」
と話しかけてくれる。嬉しい!
ただ、私はずっと「マドモワゼル」で、パリで「マドモワゼル」は決して
「あなたは若く見えますよ。お嬢さん。」
というような意味ではない。日本では女性に対して実年齢より若く見えるということが褒め言葉のようになっているけれど、この街パリでは女性は成熟してこそ価値があるという観念のため、「マダム」とよばれてようやく女性と認められるのだ。
だから、私に対しての
「ボンジュール、マドモワゼル!」

「こんにちは、おじょうちゃん。ママとおでかけ?」
というニュアンスなのだと思う。
この経験が私の中で「女性たるもの」の価値観を大きく変えた。今まで、やっぱり年齢より若く見えると嬉しいと心のどこかに思いながら日々暮らしていたのだけれど、
フランスから帰った私は、「若く見られて嬉しい」ということに対して本当に気持ちのいいくらいにそう思わなくなった。
そして、年齢を重ねていくことの意味が、全く違うものに変わった。
このお話については、また別のどこかで話せたらと思います。
話を戻して、私はパリで行ってみたいところの一つに「HOTEL COSTE」があって、今日は美術館へ行くまでにここでランチをする予定だった。
「HOTEL COSTE」は、かのジョニーデップがバネッサパラディにここで出会い一目惚れをし、それから一日も離れたくないと思ったという二人の出会いの場所でもあり、フランスのトレンドの仕掛人ジャン・ルイ・コストとホテルのデザインをしているジャックガルシアが手がけたパリで最もお洒落な新鋭ホテルだ。
パリのアーティストや音楽関係者が集まるホテルとしても有名で、バーキン親子、エマニュエルべアールも訪れるとか。
お昼の時間に合わせてホテルに向かった私たち、ドアマンというよりガードマンという言葉が似合う人たちに迎えられ、一歩足を踏み入れたとたん、そのお洒落で素敵なホテルに何となく気後れしてしまった。
光が差し込む中庭を囲むテラス席でのランチ、とても楽しみにしてはいたけれど、
「予約がいっぱいで今日は無理です。」
と断られてしまった。多分私たちが日本人だということがわかったのか、
「それでもせっかく遠くからお越し下さったので、14:00くらいなら、なんとかお席をご用意します。」
と親切にボーギャルソンが言ってくれたのだけれど、何となく気後れした私は、
「ありがとう、また来ます。」
とお礼をいって、ランチを諦めました。
なんといったらいいのか、「ホテルリッツ」のような絢爛豪華で、それなりにドレスアプしていなければ場違いという感じのホテルではなく、ランチをしている他のお客さんも、ジーンズにタンクトップにハイヒールといったカジュアルな格好なのだけれど、
洗練されたお洒落な人たちとホテルという感じで、その雰囲気に気後れしてしまった。
次回パリを訪れたら、絶対ここでランチをしたいと新たな決意を胸に秘め、ホテルを出ました。

f0175616_1445738.jpg

世界的カップルを生んだ、「HOTEL COSTE」

【 またまたチュイルリー公園 】

さて、どこでランチをしようとふらふらしていた私たち、母が
「この間いった公園へいこう!」
というので、私も大賛成してチュイルリー公園の中にあるカフェでランチ。
生ハムのバゲットサンドとシャンパン、母はクロックムッシュとプレッシオン(生ビール)で最高に気楽で気持ちのいい、おいしいランチ。
「やっぱり、ここがいいよねぇ。」
と青空の下、気持ちのよい風が吹き抜けて行く公園で、幸せな気持ちに浸る。
お昼から飲み過ぎると、美術鑑賞に支障をきたすということで、飲み物のおかわりはなし、ソルフェリノ歩道橋を渡り、左岸へ、そして「オルセー美術館」へ向かった。

f0175616_14452527.jpg


f0175616_14454366.jpg



f0175616_1446126.jpg



パリの3大美術館の一つオルセー美術館、宮殿のイメージで造られたオルセー駅の駅舎を改装して美術館として開館。ゴッホ、ルノワール、モネ等の印象派の作品が多く所蔵されている美術館ですが、私たちの1番の目的は「ミレー」でした。
母の実家は床屋さんで、現在は母の一番上のお兄さんが継いでいます。そのお店の名前が「ミレー」。もちろん、画家ミレーからとったのですが、そのせいか昔からお店や親戚の家でよくミレーの「晩鐘」の絵を良く見ていて、子供ごころながらに何か特別な意味のある絵なんだろうと思っていました。
そして、その「晩鐘」、「落ち穂拾い」がこの「オルセー美術館」にあると知った時、いつかパリへわたしたちのルーツを見に行きたいと思っていたのでした。
館内に入ると、駅のプラットホームにいるような錯覚に陥ります。元々駅だった建物をとてもうまく使い展示物をより美しく見せる工夫がされているなぁと感心しました。
 パリの美術館を見て回るうちに、私は肖像画が少し苦手な事に気がつきました。元々肖像画には、絵に描かれた人の魂と、描いた人のエネルギーが写し取られているのに、さらに見る人たちの気も加わって生き物のような感じがするのです。
あまり長時間見ていると気あたりがしてしまいます。
 私はクリムトが見たかったので、母とわかれお目当ての絵画のあるところに向かいます、すると、初老の紳士な館員さんが
「あなたをここで一番素晴らしい場所に案内しましょう。」
と声をかけてくれたので、ついて行く事に。
言葉が通じない私たちは、館員さんが少し歩いては、振り向き、微笑み合い、また少し歩いては、振り向くを繰り返し、スカレーターを乗り、エレベーターに乗り換え、建物の最上階へ向かいました。
「ここからの眺めを見せたかったのです。」
と館員さんが連れていってくれたのは、オルセー美術館の屋上のテラスでした。館員さんが窓を開けると、スッと外からさわやかな風が入り込んで来て、風の誘う方に目を向けると、セーヌ河とパリの街並。
「どうぞ、ごゆっくり、オルセーを楽しんでください。横にあるカフェも素敵ですよ。」
と館員さんは笑顔でお仕事に戻って行きました。
「また、一つ、素敵な旅のお土産をもらったなぁ。」
と、テラスからの景色にしばし見とれていると、地元に住んでいると思われるボーギャルソンが写真を撮らせてくれ、というので、恥ずかしながらパリの景色と共に、写真におさめてもらった。もう二度と会う事のないだろう彼の思い出の中に、ちょっとだけ参加させてもらいました。
 清々しい気持ちで館内に戻り、オルセーの名所の一つであるカフェを眺めながら、クリムトのある部屋を目指す。途中、ゴッホ、ドガなど美術の教科書で見たオールスターズにいちいち感激しながら、クリムトを見ました。
「夢の中にいるようだ。」
とクリムトの絵を見ると思う。それは色使いなのかもしれないけれど、なぜかそんな気持ちになる。
母とわかれて随分たつので、一階へ戻り、館員さんがテラスを案内してくれたこと、ゴッホやドガ、クリムトの絵の感想などを話しながら、二人で私たちのルーツだと思っているミレーを見にいった。が、
「。。。上海の美術館に貸し出し中だって。。。」
と、なんともがっかりな結果となってしまった。
お目あてだった『落穂拾い』も『晩鐘』も、なんと日本からほど近い上海へ出張中だった。
拍子抜けしたような気持ちで、でもなんだか可笑しいような気持ちになって、
「またの機会だね!」
と二人で笑いながら、オルセー美術館を後にしました。

f0175616_14462482.jpg

駅にいるような錯覚に陥る、オルセー美術館

f0175616_14463825.jpg

館員さんが案内してくれた、テラス

f0175616_14465981.jpg

セーヌから。オルセー美術館

今日のディナーは、近場の意気に入りカフェで食事しようということになっていたので、ホテルに戻り、早めのディナー。
パリは平日でも夕方から人がカフェに集まり始め、遅い時間までお酒を飲んだり、おしゃべりをしたり、夜の時間を楽しんでいる人たちがとても多い。
そして、そのほとんどが大人の人たち。
つくづく大人社会だなぁとうらやましく思い、パリの夜を満喫したのでした。
[PR]
by nanayecao | 2009-10-11 05:37 |
<< Un Français sen... Un Français sen... >>